脳室帯(のうしつたい、ventricular zone、VZ)は脊椎動物において、中枢神経系( central nervous system、CNS)の神経幹細胞、主に放射状グリア細胞を含む組織の一時的な胚層である。
解説
VZは脳脊髄液(cerebrospinal fluid、CSF)を含む脳室系を取り囲んでいるため、この名がついた。 胚の脳室系には、神経幹細胞が適切に機能するために必要な成長因子やその他の栄養素が含まれている。
神経発生、すなわち神経細胞の生成は、Notch経路の機能として胚発生期や胎児期にVZで起こり、生まれたばかりのニューロンは、神経回路を確立する発達中の脳や脊髄の最終目的地までかなりの距離を移動しなければならない。二次増殖領域である脳室下帯(subventricular zone、SVZ)はVZに隣接している。 胎生期の大脳皮質では、SVZには中間ニューロン前駆細胞が存在し、分裂を続けて有糸分裂後のニューロンになる。神経発生の過程を経て、親神経幹細胞プールは枯渇し、VZは消滅する。幹細胞の増殖と神経発生の速度のバランスは発生過程で変化し、マウスからヒトに至るまで、細胞周期の数、細胞周期の長さ、その他のパラメータに大きな違いが見られる。
エピジェネティックDNA修飾は、神経幹細胞の細胞分化過程における遺伝子発現の制御に中心的な役割を果たしているようである。 VZで起こるエピジェネティック修飾のひとつは、DNAメチルトランスフェラーゼによるシトシンからのDNA 5-メチルシトシンの形成である。エピジェネティック修飾のもうひとつの重要なタイプは、TET酵素と塩基除去修復経路の酵素によっていくつかのステップで触媒される5mCの脱メチル化である。
関連項目
- 大脳皮質パターン形成解析
- プロトマップ (神経科学)
- ポリグルタミン結合タンパク質-1
- 小頭畸形
脚注・参考文献
![がん情報サイト がん情報各論:[患者さん向け]小児上衣腫](https://cancerinfo.tri-kobe.org/Media/JP/CDR0000757890.jpg)
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