映画音楽(えいがおんがく、film musicあるいはfilm score)とは、映画の中で使用される音楽のことである。
歴史
映画は当初はサイレント(無声映画)であり、音声がついたのは1920年代にトーキーが発明されてからである。しかしながら、それ以前のサイレント映画を上映する際にも、映画館内でピアノなどによる音楽を流していた。時には、予算のある映画の場合、オーケストラピットでフルオーケストラの伴奏がつくこともあった。世界で最初の映画音楽は1908年、サン=サーンスが『ギーズ公の暗殺』のために作曲した音楽と言われる。他にも、ショスタコーヴィチが1929年に『新バビロン』、エリック・サティが1924年に『幕間』を作曲するなど、初期の映画音楽はクラシック音楽の作曲家が主な担い手であった。日本では山田耕筰が1922年から1924年に昭和シネマ制作の『霊楽堂』に付けたのが最初である、といわれている。サイレント時代には、チャーリー・チャップリンやバスター・キートン、ハロルド・ロイドらが活躍したが、チャップリンは俳優、監督だけでなく、作曲もおこなった。近年はクラシック音楽をルーツとしない作曲家も増加しており、また音楽の多様化により映画音楽でもポップ、ジャズ、ロック、ソウル、テクノなど、さまざまな音楽が使用される。本編では使用されず、予告編だけに使われる映画音楽が存在しており、これらの音楽はエピックと呼ばれている。。
ブラック・ムービーの映画音楽
戦前から戦後の1960年代前半までの映画は、音楽も含め白人のものだった。だが、1960年代後半から少しずつ黒人監督による映画が増えてきた。きっかけはメルビン・ヴァン・ピープルズによる独立系映画「スウィート・スウィートバックス・バッドアス・ソング」の大成功だった。音楽はアース、ウインド&ファイアが担当した。その後、アイザック・ヘイズが音楽を担当した「黒いジャガー」(1971)や、カーティス・メイフィールドの「スーパーフライ」(1972)、ジョニー・ペイトの「シャフト・イン・アフリカ」(1973)、オシビサの「スーパーフライTNT」など、多くのブラック・ムービー・サントラ盤が発表された。
映画音楽の作曲家
国名・氏名とも50音順。原則として出身国別であるが、国境を越えて仕事をしている作曲家も多い。
アメリカ
アルゼンチン
- ラロ・シフリン(アメリカへ渡って活動)
イギリス
イタリア
イラン
- ニマ・ファクララ(現在はアメリカで活動)
オーストラリア
- ブライアン・メイ
- ブルース・ローランド
オーストリア
- アーネスト・ゴールド(アメリカへ渡って活動)
- エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(アメリカへ渡って活動)
カナダ
- クリストフ・ベック(アメリカでも活動)
- ハワード・ショア(アメリカでも活動)
韓国
- イ・ジェジン
- ウォン・イル
- キム・ジュンソン
- チェ・スンヒョン
- 趙成禹(チョ・ソンウ)
ギリシャ
- ヴァンゲリス(アメリカでも活動)
- エレニ・カラインドルー
- ジョルジュ・ガルヴァランツ(フランスへ渡って活動)
- ミキス・テオドラキス
クロアチア
- アルフィ・カビリョ
ジャマイカ
- ジミー・クリフ
スウェーデン
- ルドウィグ・ゴランソン
スコットランド
- ローン・バルフ
スペイン
- アントン・ガルシア・アブリル
- ホセ・ニエト
台湾
- 林強
中国・香港
- 陳光榮 / コンフォート・チャン(代表作: インファナル・アフェア)
- 金培達
ドイツ
- カン
- クラウス・ドルディンガー
- クラウス・バデルト(現在はアメリカへ渡って活動)
- クリストファー・フランケ(現在はアメリカへ渡って活動)
- タンジェリン・ドリーム(グループ、クリストファー・フランケが過去に在籍)
- ハロルド・フォルターメイヤー(現在はアメリカへ渡って活動)
- ハンス・ジマー(現在はアメリカへ渡って活動)
- マルク・ストライテンフェルト(現在はアメリカへ渡って活動)
- ミヒャエル・スタウダッハー(韓国へ渡って活動)
- ラミン・ジャヴァディ(イラン系ドイツ人)
日本
ニュージーランド
- グレーム・レヴェル(アメリカへ渡って活動)
ハンガリー
- ミクロス・ローザ(アメリカへ渡って活動)
ブラジル
- ヘイター・ペレイラ
- ルイス・ボンファ
フランス
ベルギー
- ディルク・ブロッセ
- フレデリック・ドゥヴレーズ
ポーランド
- ヴォイチェフ・キラール
- ブロニスラウ・ケイパー(アメリカへ渡って活動)
南アフリカ共和国
- トレヴァー・ジョーンズ(イギリスへ渡って活動)
- トレヴァー・ラビン(現在はアメリカで活動)
レバノン
- ガブリエル・ヤレド(フランスへ渡って活動)
ロシア・旧ソ連
- エドゥアルド・アルテミエフ
- ディミトリ・ティオムキン(アメリカへ渡って活動)
映画音楽専門のラジオ番組
現在も放送中の番組
- シーサイド・シアター(湘南ビーチFM、SBCラジオ) - 毎週日曜日 20:00 ~ 21:00(2022年4月以降の放送時間。番組が開始された2020年4月より2022年3月迄はは毎週日曜日 23:00 ~ 24:00)。司会はジョニー志田。番組公式ブログ
- 工藤じゅんきの人生は映画とともに(STVラジオ) - 毎週日曜日 22:30 ~ 23:00。司会は工藤じゅんき。番組公式HP
過去に放送されていた番組
- 夜のスクリーン・ミュージック(NHK-FM) - 毎週土曜日 22:20 ~ 23:00。司会は関光夫。1980年より1983年まで放送されていた。
関連項目
- サウンドトラック
- サイレント
- 劇伴
- 付随音楽(劇付随音楽、劇音楽、付帯音楽)
- 主題歌(テーマ・ソング)
- 劇中歌 (曖昧さ回避)
- 背景音楽(背景音楽)
- 劇伴音楽の作曲家一覧
脚注
注釈
出典
外部リンク
- 映画音楽作曲家名鑑
- 独立系の映画音楽
- 映画音楽の歴史
- 素晴らしき映画音楽作曲家たち



