『艶姿純情BOY』(あですがたじゅんじょうボーイ)は藤沢とおるによる日本の漫画作品。単行本は全4巻。KCDX全2巻。
『週刊少年マガジン』(講談社)にて、1989年から1990年にかけて連載。女装の美少女と、彼女に恋する男女が中心の学園ラブ・コメディ。後に『湘南純愛組!』『GTO』で知られる藤沢の、後の作品にも続いて描かれるヤンキーや暴走族の活躍は、本作でも描かれている。
物語
日本舞踊の名家に生まれた女形の跡取り・茜屋純は、女装の女子高校生として私立「聖カトレアヌ学園」に入学する。その可愛さに学園の男達からアプローチをかけられたり、女子からも好かれたりと、彼女をめぐる騒動が引き起こされる。そんな女子高生としての学園生活で、純は女性の気持ちや心というものを理解しながら成長していく。物語後半では、女性アイドル歌手としてデビューする。
登場人物
- 茜屋 純(あかねや じゅん)
- 本作の主人公。日本舞踊の女形の跡取り。女装の女子高生として女子寮に入り、学園生活をおくっている。髪の毛を長く伸ばし、清楚な美少女のような容姿だが、複数のエリアを支配するレディースや暴走族の総長でもある。レディース暴走族(胸パッドを入れた女性ライダースーツ)や昭和のスケバン(タイを外したり、丈を短くしたセーラー服に、晴れでも女性用のゴム長靴)の格好でも「不良少女」には見えず、とても可愛い「良家のお嬢様」に見える。
- 女性アイドル歌手が務まるほどの女声と仕草なのに、絡んできたツッパリたちを懲らしめて降参させるくらい強い。彼女とのデートもミニスカートにロングブーツなど女の服装で出かけ(女子高生の制服デートもある)、女物の服をOLや主婦たちとバーゲンで争って買おうとするなど思考は完全に女である。本人は「女のなりをしていても、充分に男らしい」と主張しているが、彼女やレディースの不良少女たちからは、「どう見ても女」だと言われる。虫と騒音が嫌い。お猿さんや猫など可愛い動物は好き。
- 温泉や入浴が大好きで、女子寮の風呂は真っ先に入るが、それでも純が着替え中の脱衣所を覗いたり、湯煙のなか胸を隠した彼女と一緒に入ろうとする女子がいる。酒に酔ったり、キス(相手が女でも男でも)をすると色っぽくなる。
- 純の両親
- 美少女にしか見えない純に、女の服や靴ばかり買い与え、女らしくするように諭している。女形である父親は、体が弱く病に侵されているふりをしており、母親も若くて、きりっとした美人である。
- 風間 まさや(かざま まさや)
- 純の幼稚園時代からの幼馴染で二枚目の同級生。資産家の息子かつ生徒会長でもあり、女子からの絶大な人気を誇る。純に惚れている。
- 尾沢 えいじ(おざわ えいじ)
- 留年している年上の同級生。喧嘩早いリーゼントの不良。ワニをペットとして飼っている。純をめぐって争ううちに、次第にまさやと迷コンビになっていく。
- 藤村 あやの(ふじむら あやの)
- 聖カトレアヌ学園で、純の隣の席に座る背の高い女子生徒。スカートが長く不良少女っぽいが、実は理事長の娘。寮では純と同室で生活することになる。純の家族や以前から純を知っている人物を除けば、彼女が男であることを知っている唯一の存在。純と一緒に暮らすうちに、少しずつ女装している彼女に惹かれ始める。純が女子高生の合間に女性アイドル歌手を始めた頃には、完全に夢中になる。
- 理事長
- 聖カトレアヌ学園の理事長であやのの継母。女のなりをした純に「男ですから」と言われ驚く。あやのとの母子関係に悩んでいる。
- 福 笑(さいわい えみ)
- 狂言の「おかめ」面のような顔をした大柄な不良女子高生。いつも手下を数人引き連れている。転入してきた純を早々に呼び出し、〆めようとするが、負けてしまい子分になる。「福笑い」「お面」などと悪口を言われると怒る。
- 学園の不良女子たち
- 福笑の子分で腰巾着。純が街を仕切るレディースの総長であり、本当は男であることは後で知る。負けてからは純の肩を揉んだり、女の格好がきれいだ可愛いと褒めるなど態度が豹変した。
- レディース・暴走族のメンバー
- あやのの危機に、「総長の彼女がピンチ」と全面的に純に協力してくれる。幹部たちは、ゲームセンターやディスコの一室を改造したアジトを持っている。
- 岬 まい(みさき まい)
- 純の下級生である女子。純に想いを寄せており、彼女と同室で暮らすあやのに嫉妬している。手芸部員。
- 俵屋 唯(たわらや ゆい)
- 茜屋の舞踊流派を、一方的にライバル視している女形の跡取り。やはり女のなりで育てられ、女子高生として純の高校に転入してくる。彼女に意地悪やストーカー行為をするが、「嫌いは好きの裏返し」でもあるような言動もみられる。
音楽朗読劇
2021年7月3日、4日に、中目黒TRYにて歌と朗読「艶姿純情BOY」として上演。オンラインでの配信も行われた。出演者は一部ダブルキャストとして艶チーム・純チームの2チームに分かれて公演。公演後には出演者一同がキャラ衣装で集合し、舞台挨拶をした。
当初は、2021年5月8日、9日に予定されていたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言により7月に延期になった。
- 出演者(一部ダブルキャスト)
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- 茜屋 純: 岡田彩花/早乙女わかば
- 純の父:大沢樹生/筒井巧
- 純の母:杉浦幸/小阪有花
- 藤村あやの: 須賀由美子/伴野愛実
- 風間まさや:西中葵
- 尾沢えいじ:古賀司照/平田晃一郎
- 城之内麗子:菜ノ花れみ/葉月
- 甲坂朱莉:矢浦左來/舞広茉子
- 三田村亮介:倉根啓幸/蜂谷亮太
- 水卜ユナ:山口みお
- 美女百合子(カトレアヌ学園の教師):半井小絵/RICO(華村りこ)
- 校長:渡辺克己/照久
- 雪乃屋征十郎(茜屋のライバル女形):松井みどり/えまおゆう
- 豆蔵(語り・ナビゲーター):北出浩二
- スタッフ
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- 原作:藤沢とおる「艶姿純情BOY」(講談社刊)
- 脚本演出:歳岡孝士(劇団Please Mr.マーベリック)
- 楽曲提供:宇津本直紀
- 音楽、ピアノ演奏:滝千奈美
- パーカッション:熊谷仁志
- 主催:清月エンターテイメント
- 制作総指揮:アレス
その他
- 連載前号巻末『美少女なのに、「BOY」?ということは・・・』(純の絵がついた予告)で、「完全無欠のスーパー女装男子がハチャメチャをやる「ひばりくん」とは違う物語を描く」との藤沢の初心表明がある。
- コミックス復刻版では、可愛かった純が大幅にイメージチェンジし、大人っぽくなった姿が「表紙」に描かれている(「女子高生・夏服」)。
書誌情報
- 藤沢とおる 『艶姿純情BOY』 講談社〈少年マガジンコミックス〉、全4巻
- 1989年10月15日 ISBN 4-06-311497-X)
- 1989年11月15日 ISBN 4-06-311506-2)
- 1990年1月9日 ISBN 4-06-311522-4)
- 1990年2月13日 ISBN 4-06-311530-5)
脚注
注釈
出典
以下は、音楽朗読劇の公式Twitterからのキャストの出典。
関連項目
- スケバン
- ツッパリ
- 不良少女
外部リンク
- ミュージックライブ&リーディングドラマ第三弾!『艶姿純情BOY』
- 【公式】艶姿純情BOY (歌と朗読) (@ADESUGATA_J_BOY) - X(旧Twitter)
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